どくしょ

2/2
前へ
/2ページ
次へ
本を読むのは好きだ。 それは幼い頃から。 本屋さんはもっと好き。 何故好きなのかは分からない。 でもきっと、本の世界は素晴らしいから。 それはきっと、物語を愛しているから。 毒だらけで嘘だらけの現実とは違う。 今だって、時計を持った兎が私の目の前を走っている。 「捕まえてみろ」とでも言うように。 鬼ごっこは苦手だ。 皆私ばかり追いかけるから。 かくれんぼはもっと嫌い。 だって皆私を置いていくんだもの。 でもね? 存在を認識されなくなるよりは、ずっといいの。 私の腕の中にあるのは黒い本。 これは大切な本。 これは特別な本。 だってこれは私が書いた物語。 私は最後のページを見た。 そして兎の入った穴へ飛び降りる。 今から逝くのは新しい本屋さん。 素敵な物語しかない本屋さん。 そこに書いていたものは 『Bad End』 ねぇ、私を見て─────────────
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加