0人が本棚に入れています
本棚に追加
本を読むのは好きだ。
それは幼い頃から。
本屋さんはもっと好き。
何故好きなのかは分からない。
でもきっと、本の世界は素晴らしいから。
それはきっと、物語を愛しているから。
毒だらけで嘘だらけの現実とは違う。
今だって、時計を持った兎が私の目の前を走っている。
「捕まえてみろ」とでも言うように。
鬼ごっこは苦手だ。
皆私ばかり追いかけるから。
かくれんぼはもっと嫌い。
だって皆私を置いていくんだもの。
でもね?
存在を認識されなくなるよりは、ずっといいの。
私の腕の中にあるのは黒い本。
これは大切な本。
これは特別な本。
だってこれは私が書いた物語。
私は最後のページを見た。
そして兎の入った穴へ飛び降りる。
今から逝くのは新しい本屋さん。
素敵な物語しかない本屋さん。
そこに書いていたものは
『Bad End』
ねぇ、私を見て─────────────
最初のコメントを投稿しよう!