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ミッション系の高校に通っていた先輩から聞いた話です。
その学校の旧校舎には開かずの部屋というのがあり、もし入ると呪われると噂されていたそうです。
学校は出入り口にダイヤル錠を取り付けて、立入禁止の張り紙をしていました。
その張り紙も、かなり前から張られていたらしく、先輩がいた頃には、変色してあちこち破れてたそうです。
先輩は心霊現象とかは全く信じていない人で、その日は同じ考えの友達と3人で開かずの部屋へ入って、「呪なんかを信じるなんてアホや!」と、コーラで祝杯を上げることになったそうです。
放課後、先輩たち3人は部屋の前に行きました。
先輩は持っていたコーラを後ろの友人に渡すと、ダイヤル錠を慎重に回して、番号を一つ一つ探り当てて、ついに解錠に成功しました。
「やったー!!」
勢い良くドアを開けると、そこには一人分の生徒用の机とイスが、部屋の中央にきちんと意味ありげに、置かれていたそうです。
「なにこれ」「意味わかんないねー」「早くコーラ飲んで帰ろう!」
3人は好き放題に言うと、コーラを飲もうと、1人がレジ袋から紙コップを取り出しました。
「コーラはどこなの?」と先輩が二人に尋ねます。
「エッ? ◯◯ちゃんが受け取ったんじゃないの?」
「私じゃないわよ。△△ちゃんでしょう?」
先輩の後ろにいた二人は、確かに先輩が「これ持ってて」と、コーラを渡すのを見ていました。
でも、お互いが隣にいる友達が受け取ったと思ったそうなんです。
ちなみに先輩は前を見たまま渡したので、誰に渡したかは分かりません。
いくら探しても1リッターのペットボトルのコーラは見つからなかったそうです。
それ以来、先輩たちは、開かずの部屋どころか、旧校舎にすら近づかないようになったそうです。
だって、『住人』は外にいたわけですから・・・。
(了)
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