帰り道

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あれは私が小学生の頃でした。田舎なので田畑の畦道を通って山の中の細道を登った所に小学校がありました。片道30分をかけて登下校してましたがどうしても嫌な場所があって、そこを通る時だけはいつも駆け足で通り過ぎるようにしてました。 そこは小さな丘を切り開いて道を通した場所で、両脇が崖になっていることもあり昼間も薄暗い場所でした。そして中腹の道の片側にはお地蔵様が祀ってあり、その向かい側にはボロボロで草に覆われた家のような建物がありました。朝でも薄気味悪く夕方になると不気味さが増してとても怖い場所でした。 多分、3年生の頃です。放課後に彼女と遊んでいて帰りが遅くなった日のことでした。秋の日暮れは早く、辺りはすでに薄暗くたくさんの鈴虫が鳴いていました。 友達と一緒に例の場所を通った時のことです。 「うん、良いよ」 友達が突然話しだしたのです。 私が誰と話してるのか尋ねたら、 「さっきの声はAちゃんじゃないの?」 と、焦った感じで私に訊きました。 私が何も言ってないというと、その子はガタガタと震えだして、泣きながら走って逃げて行きました。 突然のことで呆然としていた私でしたが、彼女を追いかけてその場から逃げました。なぜなら、 『いっしょにあそぼ』 と、耳のそばから幼い女の子の声がはっきり聞こえたからです。
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