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「お客、来るかなぁ」
「来るわよ。だってプート、チラシをポストに入れて来てくれたでしょ?」
「まあね」
「じゃあ心配いらないわ。……あ、トカゲのしっぽと目玉は二晩目にもう一回入れるんだった」
エリーが手にした魔法薬のレシピに目を落としながら憂鬱そうにつぶやく。
「入れれば?」
ぴょんと椅子から飛び降りて、プートは棚にあるガラスケースを両手で抱えた。その中には彼がエリーの為に捕まえてあげたトカゲたちがウジャウジャジャ。
「はい」
ケースをテーブルに置き、プートがニッコリと笑う。
「う……トカゲ、ただでさえ小っちゃいのにシッポ切っちゃうなんて可哀相……」
「そんな事言ったって。この魔法薬には必要なんだから。これを作る為に魔女見習いなんてやってるんだろ?」
「わかってる……頑張る」
「今度は手伝わないからね。自分でやって」
「はい……」
エリーは重い足取りで棚からまな板と小ぶりな両刃の鉈(ナタ)をテーブルに移した。そしてガラスケースのトカゲたちを覗き見る。
「シッポ、少しだけもらうね……。すぐ生えてくるからねー……」
「いいから早く」
厳しいプートにちょっぴり頬を膨らませ、エリーはケースの中から一匹トカゲをつまみあげた。
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