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今までここを訪れても興味を持って店内を見たわけではなかったが、ここは店舗面積が小さいわりに、様々なジャンルの本が置いてある。
本と言えば、せいぜい国語の教科書か、読書感想文を書くために無理やり本を読まされたことしか、なかった。ぐるっと店内をまわっても、興味を持つどころか、何を見ていいのかすら、わからない。
まだ探しているものがあるのだというアピールも含め、男が戻っていたレジの前を通る。
「どうせ、雑誌と漫画ばっか読んでるから、活字の本なんてわかんねーんだろ」
「違うわよ!欲しい本がなかっただけよ!」
いちいち突っかかってくるのが気に食わない。
「ホレ」
後ろからぺしんと何かで頭を叩かれ、差し出されたものが薄い文庫本だとわかり、受け取る。ぱらぱらとめくってみると、恋愛小説のような書き出しで、難しそうな内容ではないとわかる。
「何よ、これ」
「脳みそ薄そうなお前には、これくらいから始めてみれば」
「バカにしてんの?」
男は、別に、と言いながら再び、本の整理を続けた。
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