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「あ、それ、俺の本だから読んだら返せよ」
「貸してくれるってこと?あんたのオススメなんて興味ないんだけど」
「それが最後まで読めれば、なんでも読めるんじゃねーか?無理だろうけど」
「ちょっと!読むくらいできるわよ!そんなに言うんなら借りるからね!」
渡された本をスクールバックに押し込み、ふん、と男に背を向けて店を出た。
「ちょっとくらい顔がいいからって、口が悪すぎなのよ」
前にも増して男の言動に腹が立ったが、実際、自分は本当に本を読んでいないと思い知らされたのは事実だった。とはいっても、今まで本を読まなくて困ったことなどない。
本一冊くらい読めるんだから、と美樹は鼻息を荒くした。
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