第2話:あいつが本屋の王子様?

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「あ、それ、俺の本だから読んだら返せよ」 「貸してくれるってこと?あんたのオススメなんて興味ないんだけど」 「それが最後まで読めれば、なんでも読めるんじゃねーか?無理だろうけど」 「ちょっと!読むくらいできるわよ!そんなに言うんなら借りるからね!」    渡された本をスクールバックに押し込み、ふん、と男に背を向けて店を出た。 「ちょっとくらい顔がいいからって、口が悪すぎなのよ」  前にも増して男の言動に腹が立ったが、実際、自分は本当に本を読んでいないと思い知らされたのは事実だった。とはいっても、今まで本を読まなくて困ったことなどない。  本一冊くらい読めるんだから、と美樹は鼻息を荒くした。
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