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美樹達がいつも行く本屋は学校の近所の商店街にあって、腰が少し曲がったおじいさんがやっている古びた本屋だ。
駅前のタウンビルにある本屋のほうが店舗面積も広く品揃えも多く、そっちにほぼ客を取られているのではないかと思う。
だが、あえてこの本屋に行くのは理由があった。むしろその理由がなければ、わざわざ足を運ぶことがない。
本屋のガラス扉を手で押すと、あいかわらず店内は客がほとんどいない。入口に入ってすぐ左側のラックに、お目当ての雑誌はあった。いわゆる新刊コーナーという場所なのだろう。
店内に背を向けるかたちで、美樹と春香は並んで雑誌を手にとり、いつものように表紙をめくった……つもりだった。
「え?」
雑誌にはビニールがかかっており、中身が確認できないようになっていた。
「見れないね」
「マジで……?わけわかんない」
ラックにあるほかの雑誌も、同様にビニールがかかっていた。先月までは間違いなく、なかった。
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