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「じいさんはおまえらが毎月来てるのを知ってて、わざとそのままにしてやってたんだよ。しばらくは孫の俺がこの店を預かることになったから俺の自由にやる。もう立ち読みはさせない。おまえも、立ち読み以外に用がないならもう店に来るな」
男は言うだけ言って、再びしゃがみこんで作業を再開した。
「はあああ!?それが客に言う態度なの?」
美樹は思わず声をあらげるが、男は振り向きもしない。
「客だっていうなら、本買ってから言えよ。そもそも活字読まずに、雑誌ばっか読んでから、そんなくだらねーことで文句言いにくるんだよ。バーカ」
「何よ、その言い方!最悪!こんな店、二度と来るか!」
美樹は、その勢いのまま荒々しくレジのある机をバシンと叩いて出口に向かった。離れたところで見守っていたらしい春香は、スタスタ歩く美樹の後ろをついてきた。
「美樹……」
「何よ、アイツ!あったまきた!今月は私が買うわ。駅前の本屋行こう」
「う、うん……」
怒りが収まらないまま、春香と駅前の本屋で雑誌を買い、家に帰った。
なんだか気分がもやもやしたまま、ビニールにかかったままの雑誌を部屋に投げ出したまま、美樹はそのままベッドで不貞寝した。
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