第2話:あいつが本屋の王子様?

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「あー、むかつくむかつく」  朝から苛立つ美樹に、春香はまあ、仕方ないじゃんとなだめながら、美樹ほどは怒ってないように感じた。  中身を確認できるようにしてくれているのは、本屋の善意だということも頭ではわかっている。それでも自分が勝手に想定していたことが、自分ではない都合で叶わないとなると苛立ちが募る。冷静に考えると大人げない言動だったこともわかる。  それでも、あの男が乱暴な言い方のくせに、すべて正論だからこそ、腹立たしいのだ。  昨日のことを踏まえ、本屋に行かなかった夏菜子と春香は、そんな美樹を横目に、次回からは順番で買って本、まわして読もうという案が採用されつつあった。
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