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この話は僕が小学校四年生の夏に起こった出来事で、今から十年ほど前のことになる。
七月の終わりに、祖母のチヨが亡くなった。
葬儀のため、僕は福島県にある母方の実家へ、両親に連れられて行った。
座敷の床の間の前に白い布で覆われた壇が組まれ、その上に祖母の遺影が置かれていた。カラー写真の祖母は、こちらを向いてほほ笑んでいる。
葬儀場での通夜が終わって、夜の八時過ぎに、親戚のうちの半数ほどが家に戻ってきた。祖母の遺体と最後の夜を過ごす人たちは、葬儀場に残っている。
「お前も残るかい?」
と親戚のおじさんに言われたが、即座に断った。当時十歳だった僕にとって、葬儀場で一晩を過ごすことなど考えられなかった。
晩御飯は通夜の後、葬儀場で豪華な折詰を食べてきた。床に着くまでの時間、僕は一つ年上の親戚の男の子とトランプをして遊ぶことにした。
茶の間では大人たちが酒を飲みながらわいわい話をしているので、僕たちは座敷にいき、畳の上にトランプを広げて神経衰弱を始めた。
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