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壇の前まで歩いていき、倒れている遺影を手で持つと、元のように立てかけた。
祖母がこちらを向いてほほ笑んでいる。
僕たちは再び神経衰弱を始めた。
いつの間にか年下である僕が優勢になっていた。上級生の優位に立っていることを意識して興奮した。使い走りとして扱われた仕返しをする気持ちになっていた。
パタン。
トランプをめくろうとしていた僕の手が止まった。さっと顔を振って遺影を見た。
倒れている。さっきと同じように壇の上にうつ伏せになっている。
僕たちは顔を見合わせた。
「倒れたよ」
親戚の男の子が言った。責める口調だった。
「……」
僕は黙った。また自分が直しにいかされるのが嫌だった。
「なおさないの?」
親戚の男の子が聞いた。
「またぼくがやるの?」
聞き返した。今度はすんなりと言うことをきく気にはなれなかった。自分は一度直したのだから、次はそっちの番だろ、という思いだった。
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