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「これ、ヤバイよ」
親戚の男の子が言った。顔が引きつっている。
「うわー!」
僕たち二人は叫び声を上げて、転がるようにして座敷を飛びだした。
茶の間でよい機嫌になって酒盛りをしている大人たちに、今あったことを恐怖のために上手くまわらない口でなんとか説明した。
あれは偶然なんかじゃない、おばあちゃんがわざと倒れたんだ、僕はそう思った。
「まあ、そんなこともあるべ。ばあさんのやつ、ふざけて、孫を驚かしてみたんだろ」
などと言いながら、大人たちは愉快そうにいっそう盛り上がってしまった。のん気なものだった。僕は自分の驚きと恐怖がまるで理解されないことに腹が立った。
そういったなかで、この家のお嫁さんであるおばさんが、
「おかしいねえ」
と言って首をひねった。僕たちの言うことを信じていないようだった。
「ほんとだよ。ほんとに写真が倒れたんだから、ね」
と僕は一緒に神経衰弱をやっていた親戚の男の子に顔を向けた。
「うん。あれは絶対に死んだおばあちゃんのせいだ」
彼は乾いたくちびるを尖らせて言った。
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