100億円の音がする

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100億円の音がする

夏の始まりのその日は、仕事帰りにコンパを設定していた。19時頃から各々の仕事が終わり次第集まりだし、スタートする予定だ。 「パーティの開始とかぶるから~、コンパの途中で次のパーティに行こぉっと♪」 コンパの幹事を引き受けているにも関わらず、めちゃくちゃ自己中心的なスケジュール進行を決行する事に大した罪悪感もなかった。100億円の前では、罪悪感さえもひれ伏す。 ホテルの和食屋で開催されるコンパにウキウキしていた綾花も、100億円パーティの前ではかすんだ。 男友達の幹事に、すぐラインをした。 《ルパン♪お仕事お疲れ様!お電話できる?》 すぐにルパンから電話がかかってきた。さすがだ。何でも相談できて頼りになるその男友達は、1周り以上離れた年齢だが決して偉ぶらず謙虚で、凄く優しい。 『もしも~し、アヤ~♪』 落ち着いた声のトーンだが、いつも軽やかに話す。 『もしも~し♪ルパ~ン♪今度のコンパなんだけどさ~、申し訳ないんだけど、アヤ、途中で抜けても大丈夫~?』 唐突な質問に若干驚きつつも、穏やかに話しを進めてくれる。 『お?ど~した~?』 ここで押さえていたテンションが爆破した。 ルパンの優しさに遠慮なく甘えて、綾花はハイテンションで話しだした。 『100億円のパーティに誘われてさ~♪スタートがかぶるから、パーティには遅れて参加しようかと思って~』 『え~?!100億?!さすがだね、アヤ!またまたそんな話しどこから?』 『お友達に誘われたの~♪せっかくルパンとのコンパなのにゴメンよ~』 『いや~凄い!アヤが途中で帰ったら寂しいけど、そんな事情なら仕方ない。僕はたかが数十億だし...』 『ルパンも十分凄いよぉ!ほんとゴメンねぇ!』 謝っているのに、ハイテンションな綾花は申し訳なさよりワクワクがまさっていた。
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