あぁ、書店員はつらいよ

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あぁ、書店員はつらいよ

佐藤 幸太23歳 本を読むのが好きだから、『本屋』で仕事をしたいと思い近所の本屋さんの面接を受け、見事に合格したのだが・・・・ それが間違いだったとほんの少しだけ後悔した 本屋の朝は忙しい 開店は10時、朝の点呼は8:50 本日の入荷状況や連絡事項を店長がスタッフ達へ伝える 開店準備9時スタート 皆一斉にに雑誌の品出しにとりかかる そこは戦場と化す 雑誌はビニール袋に入っており、ジャンルに関係なくランダムに何十束にも分かれて入荷してくる 一袋ひとふくろには硬いビニールヒモで十字に縛られており、スタッフはハサミやカッターを使い、一斉に開封にとりかかる 開封された雑誌は付録付きと付録なしに分け、付録なしは数台準備されたトラッカーにのせ各ジャンル適合した売り場へ出していく 「お客様のために」と口では言いつつ、皆心の中では「売り上げのために」を合言葉に一心不乱に作業をする まるで、某ロボットアニメのようなセリフだ ここからは時間との勝負 開店までにどれだけ雑誌を売り場に出せるかになってくる 開店前に売り場へ全部出せるのがベストなのだか、どうしても間に合わない時は、本日入荷分を最低1冊は売り場へ出して、残りを出すという流れになる ちなみに、付録付きの雑誌は書店員が一つひとつ手作業でつけている これが複数タイトル入荷してくると最悪だ 特に月の下旬、女性誌入荷の日になるとスタッフは半狂乱になりながら付録付けに追われる 近年は本誌の特集よりも、付録を重視す傾向があるようでどこの出版社もこぞってブランドとコラボしたポーチやトートバッグが多い 本屋に勤めだして、いくつか役得だと感じた事の一つに「お客様よりも先に現物の雑誌やコミックの表紙を見れる」こと 雑誌の付録付けも大変なのだが「今回の表紙は○○(有名女優さん)で付録はこれなんだなぁ」と観察しながら作業をするのは楽しい
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