1人が本棚に入れています
本棚に追加
「あれは秋くんは悪くない…」
「いや、俺のせいだ…俺がちゃんとあいつの待ち合わせに時間より早く着けばあんな目には合わなかった…」
「…それは…桜だって…」
「夢、桜は悪くない…悪くないんだ」
「それは…分かってる…不注意だったのは相手なのも…」
「…アイツには会えないしいなくなっちゃったけど…最後にあいつの声を聞けてよかった…そう思う…ただ…」
「ただ?…」
「観覧車でアイツが言った言葉が思い出せない……」
(そもそも、聞こえなかった…)
あの日桜が残した言葉を秋は何度も思い出す
何度も何度も
それでもいまだに何て言ったのか
何を言ったのか分からなかった
秋はその時、笑って誤魔化していたがその顔を見て桜の表情が曇ったのを覚えていた
「きっとそれは悪いことじゃないよ…多分」
「だといいけど…」
また二人は黙り込む
長い沈黙をしながら歩き続ける
今度はさっきよりも長く
結局学校に着くまで二人が喋る事は無かった
市立縁高校
県の中ではまあまあの成績、実力を持っ高校で
毎年、各部の部門でそれなりの成績を残す者がでている
「何が縁だよ…部活に縁があっても仕方ないじゃねぇか…」
教室でぐでっとしていた
秋がそう呟く
「部活だけじゃないよ?ちゃんと勉強、縁結び、そして願い事が叶うって言うジンクスもあるんだから」
前の席の夢が振り向きながらそう言うがどうでもいいと流す
最初のコメントを投稿しよう!