厄日

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その日を一言で表すなら厄日。 北海道警察警備部機動隊、いわいるSAT所属の加藤瑛介は大阪と神奈川から選抜された隊員とともに72時間の合同耐久訓練を終え休暇に入った。 ー疲れてる時は甘いもの。 瑛介は今一番お気に入りのスイーツ、プリンを出す駅ビルの中に入った本屋併設のカフェへ向かった。 フォレストビルⅡ8階桜書店併設カフェチェリーブロッサム。 カフェを利用するには併設の本屋で書籍を最低1点購入して入店して注文する時その時のレシートを提示する。 そんな仕組みになっているので瑛介もまず書店に入り書籍をながめる。疲労が抜けきらない頭で選んだのは週刊の漫画雑誌だった。 カフェは20席あるかないかで本屋側より眺めがいいビルの窓側に横長に店をかまえている。 同じ時間帯にエスカレーターでフロアに入ったほぼ黒ずくめのやせ形のロングヘアの女は、本屋に入ると新刊が並ぶ棚で新作の小説を手にし、文庫小説が並ぶ棚に向かった。 印象に残ってるのは、刑事課の友人がぼやいていたブランドものらしき靴を履いていたからだ。 言っていたやけに目立つレッドソールのごつめのピンヒール。コピーブランドものかとぼんやり思いながら女の足元を眺め、頭まで眺めなおしたら黒ずくめでマッドな口紅の赤以外、メイクも黒のアイライナーで強調された目元と、黒く長い髪以外は、ゴールドの華奢なアクセサリーとよくは解らないが、パンクロックファッションか、ゴシックロリータファッションなんじゃないかなと思った。 それは、購入書籍のレシートを提示してプリンを注文しようとした時だった。 女性の悲鳴と男の怒声。その方を見ると頭の悪そうなチンピラな感じの男が書店店舗レジ前で黒ずくめのあの女をナイフで脅しレジの金を請求している。白昼堂々の強盗だった。黒ずくめの痩せっぽちの女はおびえ泣いているようだった。 ー警備員、警察への通報かたはすぐつくだろうと野次馬で動画を撮っているのを見て女にご愁傷さまを呟いていたら、パンと破裂音がしカフェレジにいる店員にどこ製か解らない拳銃を突きつけ脅す強盗その2が現れてこれは休日に厄介事に巻き込まれたと思った。 ー眠いし、プリン食べたいし長時間の拘束は避けたいなぁ。と考え ー警察はともかく警備員が遅すぎる。と思った瑛介は強盗どもが共犯らしく怒声をあげテンプレ科白を吐き現場が進行していくなかで始末書を覚悟して
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