第1章 探偵は事務所にいる

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〈手遅れにならないうちに行動を改めなさい。思うに、あなたがそんなだから、ご主人の浮気心が疼くんじゃなくて?〉 『違うね。男女関係なく、“老いの恐怖”に苛まれると、無意識に若さやエネルギッシュさを求めるの。男のほうが少し分かりやすいだけ。男も女もおしなべて目移りするもんなの』 「一途な男が誠実に見えても、騙されちゃいけません。それは愛じゃないから。執着心が強いだけだから」  心のつぶやきが声に出ていることに気づき、天はひとり苦笑する。 『……何てこった。TVにツッコミ入れるようになっちゃ終わりだろ!?』 「だいたいだ。ワイドショーに相談して解決できるなら、探偵も弁護士もいらないって話だよ」 「僕もそう思う」
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