第4章 嵐はある日突然に

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第4章 嵐はある日突然に

「で、道端は何て?」  シャコシャコ歯を磨きながら、洗面所から顔をのぞかせた天が山嶺に訊ねる。 山嶺は携帯で誰かと話をしている最中で、口を濯ぐため、天はいったん洗面所へ引き戻る。 どうやら揉めているらしい会話が、彼の耳にも入ってくる。 『もっと真剣に身の安全を考えるべきだろ。いくら腐れ縁つったって、ヤクザと積極的に関わるのは勘弁だっつーの。とばっちりはごめん被る……』 「天ちゃん~、どうして僕ばっかりこんな目に遭うのかなぁ? 理不尽な世の中になったよね~……――ねぇってば! 僕の話、聞いてる? おかしいよね、絶対! 僕より天ちゃんのが断然、そういうキャラじゃん!? どう見ても逆じゃん!? 納得できないじゃん、こんなの!」 「ハイハイ、そうっすね」 「ちょっと! ウチの所長に失礼なこと言わないで! どうせ自業自得でしょ!?」  愛娘に噛み付かれ、山嶺はうっすら涙目だ。
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