謎の本屋と、謎の店員。黒猫のスパイス。

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どうだろう? 学生バイトの娘かな? そのわりには、来るたび、いつもカウンターの中にいるな。 そして、変わらず読書をしている。 どうやら、怪奇小説やオカルト系などが趣味のよう。 手にしているのは、常にそんな類の古い本だから。 今まで自分はホラーものには興味が湧かなかったけれど、今日は特別。 彼女と話すきっかけになればと思い、恐怖映画のチケットを手に入れてきた。 二枚。 今まで自分から女性に声をかけたことなんてなかったけれど、今日は特別。 勇気を振り絞って、誘ってみようかと思ってる。 〝よかったら一緒に行きませんか?〟 もう何度も、このお店には顔を出しているし、来店するたび、本も購入している。 今すぐ読む予定はないけれど、あとあと必要になってくるかもしれないと見越した古い医学書、十数冊。 安い買い物じゃない。 少なからず店の売り上げには貢献していると思う。 もちろん彼女も、こちらの顔くらいは覚えてくれているだろう。 そうだ、大丈夫。 この日のために美容院に行って髪も切ったし、服も新調した。 見た目の不衛生感は、女性に忌み嫌われる一番の要素だと知ったので。 ちょうど店内に他の客はいない。 今しかない。 行くしかない!
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