謎の本屋と、謎の店員。黒猫のスパイス。

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「あ、あの……」 「はい」 「これ、ください」 「ありがとうございます。 3780円です」 「それから、あの……」 「はい」 「良かったら今度、映画に行きませんか? チケットあるんです、ここに」 「あ、でもスプラッター系はちょっと苦手で……ごめんなさい」 「え? そうなんですか? じ、じゃあ、あの、違う作品にしますから、できれば連絡先だけでも……」 「連絡先と言われても、スマホも何も持ってないので……」 「そんなっ、嘘つかないでください!」 「あっ、ダメ! さわらないで!」 ゴトリ。 「え?」 彼女の腕に触れた瞬間、カウンターの上に音を立てて落下した物体。 ……腕。 自分の目を疑う。 まさか、そんな。 肩から先が、外れた? 取れた? 嘘だろ? 脱臼とかじゃなく、完全に腕全体が体から剥がれ落ち、その場に転がった。
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