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「ありました」
再び探し当てた本を手に、彼女の待つレジに戻る。
「あ、やっぱり。 ここに薬剤耐性のあるウィルスについて触れてあります。
なるほど。 感染死を防ぐため開発された薬の副作用により、当時の患者にも皮膚のただれや壊死などがおこっていたようです。
そして、副作用を抑える新薬についての記述もここに……あっ」
突然、起きあがった黒猫が、ビリッ。
そのページを咥えて破き、そのまま後ろの本棚の上に飛び乗ってしまった。
「何するの? やめて! 返してビビ!」
「ビビっていうの? あの猫の名前」
コクリと頷く彼女。
「ホラ戻っておいで、ビビ。 それ大切な本の一部なんだ。
ご主人様が元に戻るための……」
声をかけた途端、ピョン!
跳ねるようにして本棚の裏側に姿を消した黒猫。
「ちょっと、待って!」
彼女とともに猫を追い、急いで棚の裏手へ回ると、その場所には人影が。
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