人魚の歌姫

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 人魚姫が打ち上げられた国では、王子様が頻繁に海を眺めるようになっていました。  国の発展のため、他国から嫁いできたお姫様は、その隣に並び一緒に海を眺めています。  だけど、時に切なそうに目を細める王子様のことが、とても心配になるのです。  一時なら気に留めることもなかったでしょう。  しかし、海を眺めるたびに、切ない表情を浮かべる王子様のことを放っておくことができませんでした。 「海の向こうに、何かあるのですか」  お姫様の問いかけに、切ない表情を崩さず、王子様は答えます。 「海の底から、私を呼ぶ声が、聞こえる気がするのだ」と。
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