あとがき

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あとがき

 私は人魚姫のラストが嫌いでした。  どうして、相手の幸せのために、泡にならなければならないのだろう。  どうして、自分の存在が消えてまで、相手を愛せるのだろう。  どうして、あんなにきれいな心のまま、いられたのだろう。  物語だからと言ってしまえば、それだけのこと。  だけど、どうしても納得ができなかった。  だからこそ、私なりの人魚姫を書いてみたかった。  それが、『人魚の歌姫』を書くきっかけだったのかもしれません。  ただ一度の邂逅。  だけど、忘れられないほどに焦がれた相手。  人魚姫は王子の幸せを願いながらも、心のどこかで、「私に逢いに来て」という祈りを、魔力の籠った歌に込めているのかもしれません。  私はこういうのもアリだと思うんですが、どうなんでしょうね。  人魚姫のラストはあまり好きではありませんが、あれはあのラストだからこそ、長い間愛される童話だったんだなと思います。  人魚姫がなければ、この話だって書いていませんし。  それを思えば、敬意を抱かずにはいられません。  最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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