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あの時と同じように、一つ、二つ、とボタンを外す。
三つ目に手をかけた時、手首をパシッと掴まれた。
「み、美咲。やめろ」
「なんで?いつものことじゃない」
「美咲」
「晃が悪いんじゃないの?ストーカーさん」
綺麗な形をした目が丸くなる。
化物を見るかのような瞳。
そこに映る私は、黒く汚れている。
「…な、な、なんで」
「私の弱みを握りたかったんでしょ?素直に別れ話をしても、私が別れないってわかってるから」
彼の上から下り、床へと腰を下ろす。
しばらくすると、彼もやっと体を起こした。
「…で、でも、美咲だって人のこと言えないじゃないか!そもそも、先にストーカーみたいなことしてきたのはそっちだろ!?」
「…バレてたんだ」
彼の表の顔は瞬く間に崩れ落ちていく。
「私は、ストーカーというより調査だよ。晃の本命の彼女は誰かなー、って。可愛い子だね、私と違って純粋そう」
「み、見たのか」
「貴方と違って尾行が上手ですから」
隣には座らない。
彼が上に、私が下に。
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