佐々木 晃

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「で、でも、お前も浮気してるじゃないか。しかも、三股」 「あ、そこまで知ってたんだ。そうだよ、三股。今はまだマシな方」 「…は?」 「でも、貴方も私も変わらない。最低の浮気野郎」 彼が息を呑む。 瞳は揺れ、何を見つめているのかわからない。 彼の隣へと移動し、ゆっくりと腰を下ろす。 「俺以外に二人もいるのに、な、なんでそんなに俺にこだわるんだ」 「…何か勘違いしてない?」 私は晃にこだわっているんじゃない。 尾行までしているのは、そのためなんかじゃない。 「私は、彼が本当に私を選んでくれた瞬間が好きなの」 「え…?」 「美咲のために彼女と別れた、なんて。私よりも前から付き合ってた彼女をあっさり捨てるんだよ。最低な私のために」 「…美咲」 「どうせ知ってるだろうから言うけど、龍くんだってそう。元は会社の受付の子と付き合ってたけど、私が横取りしたんだ。亮斗もそう。梨子との相談を聞くよ、なんて言って誘惑したの。そして二人とも…」 __私を選んでくれた。 「お、お前、おかしいぞ」 「わかってるよ。親友の彼氏取る女なんて、頭おかしいに決まってる。でも、やめられないの。人のものを本当に奪った瞬間って、最高に快感だよ」 だから、晃にも言わせようと思った。 美咲のために彼女と別れた。 俺は美咲が一番だ。
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