5人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「で、でも、お前も浮気してるじゃないか。しかも、三股」
「あ、そこまで知ってたんだ。そうだよ、三股。今はまだマシな方」
「…は?」
「でも、貴方も私も変わらない。最低の浮気野郎」
彼が息を呑む。
瞳は揺れ、何を見つめているのかわからない。
彼の隣へと移動し、ゆっくりと腰を下ろす。
「俺以外に二人もいるのに、な、なんでそんなに俺にこだわるんだ」
「…何か勘違いしてない?」
私は晃にこだわっているんじゃない。
尾行までしているのは、そのためなんかじゃない。
「私は、彼が本当に私を選んでくれた瞬間が好きなの」
「え…?」
「美咲のために彼女と別れた、なんて。私よりも前から付き合ってた彼女をあっさり捨てるんだよ。最低な私のために」
「…美咲」
「どうせ知ってるだろうから言うけど、龍くんだってそう。元は会社の受付の子と付き合ってたけど、私が横取りしたんだ。亮斗もそう。梨子との相談を聞くよ、なんて言って誘惑したの。そして二人とも…」
__私を選んでくれた。
「お、お前、おかしいぞ」
「わかってるよ。親友の彼氏取る女なんて、頭おかしいに決まってる。でも、やめられないの。人のものを本当に奪った瞬間って、最高に快感だよ」
だから、晃にも言わせようと思った。
美咲のために彼女と別れた。
俺は美咲が一番だ。
最初のコメントを投稿しよう!