榎田 梨子

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「そういえば美咲。なんでこの前電話くれたの?出れなくてごめんね」 「…ううん、大丈夫。ちょっと惚気ようと思って」 「なんだ。それなら出なくてよかった」 つり上がった目が印象的な猫顔の彼女は、笑うと少し幼くなる。 私は、彼女に嘘をついた。 本当は惚気を聞かせたかったわけではない。 幸せアピールをしたかったわけではない。 ストーカー被害にあっていた。 仕事帰りの時など、あとをつけられているのだ。 でも、言えるはずがない。 だから、言わない。 大きく息を吐き出して、笑みを返した。
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