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由里はそう言うと、居酒屋のテーブルに突っ伏して、泣き出した。私は、周りの客に軽く会釈をして謝った。そうしないと文句を言われそうなほど、由里は大きな声を出していた。私は出来るだけ優しい声で、由里をなだめる。
「由里、大丈夫だよ。私は離れていったりしないから。」
「ほんと?」
ムクッと起き上がり私に聞く。
「ホントだよ。親友じゃない。」
「ありがとー。」
また泣き始めた。
「ほら。泣くのはやめて。」
「分かった。」
由里はぐすんぐすん言いながら、またチビチビと飲み始めた。
「由里、そろそろ帰ろっか?」
「帰りたくない。」
もう飲み始めて3時間になる。時刻は11時。2人とも明日も仕事だ。
「明日、仕事でしょ?行けなくなっちゃうよ。ね?」
「分かった。帰る。でもその代わり、美穂、今日は家に泊まって。」
「え?だって着替えなきゃ明日の仕事もあるし。」
由里が子供みたいになっている。
「じゃあ帰らない。美穂は好きにすればいいじゃない。親友なんて嘘なんだ。」
完全に駄々っ子だ。2、3秒考えた。しょうがないか。
「分かったよ。由里の家に泊まるよ。」
「やったー。じゃあコンビニでお酒買って帰ろうね。」
一気に機嫌が良くなる。まあこれが由里の憎めないところなのだが。
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