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 午前7時。  眠い目をこすりながら、急いで会社に行く準備をしている時だった。  ピリリ、ピリリ  由里からだ。 「もしもし。由里、昨日はごめんね。」 「もしもし、警察ですが、美穂さんですか?」  え? 「由里は、由里はどうしたんですか?」 「由里さんは、亡くなられました。」  嘘……。 「だって昨日……」 「はい。最後の通話記録があなただったもので、事情を伺いたいのですが。よろしいですか?」  警察は冷静に私に伝えた。  30分後、由里の部屋。慌てて部屋に入る。 「由里は、由里は。」  寝室に行こうとした私を警察が制止した。 「由里さんはもうこの部屋にはいません。」  そうか。もういないのか。 「昨晩、何者かに刺され、お亡くなりになられました。」  え?刺された? 「だ、誰にですか?」 「最近出没している、通り魔だと思われます。鍵の開いている部屋に侵入して、無差別に人を襲うっていう。」  言葉を失った。 「美穂さん、昨日、ここに来ましたよね?」  言葉を失っている私をよそに、警察官は質問を続けた。 「はい。」 「それで、何時頃帰られました?」 「たぶん、午前1時頃だったと思います。」 「そうですか……。」  あ。違う。 「いえ、1度戻ってます。ここに。携帯忘れちゃって。」 「その時、由里さんと会話されました?」 「いえ、由里は寝てたので。起こさないように帰りました。」
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