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彼女は、本田 香奈恵(ほんだ かなえ)俺と誠の幼なじみだ
ドアを閉める前に、香奈恵は《営業中》の札をかける
「零、居るなら営業しなさいよねぇ」
棚に鞄を置き、長い黒髪をポニーテールに結ぶ
「揃ってからで良いかなぁって、俺1人じゃ客逃げんじゃん」
そう、何故か俺は怖がられている
廊下を歩けば、生徒は慌てたように左右に避ける
教室で話しかけようとすると、ビビりまくられる
「まぁ確かに逃げるわな」
誠が、クックックッと笑って言う
思い当たるのは、一つ、そうアレだ
それは、去年、入学してから、間もなく夏休みになろうかと言う頃、俺はある理由で校内一の悪と有名な人物を
フルボッコ
と言う目にあわせた
なのに、学校側から何のお咎めも無く、逆に相手が退学処分になると言う摩訶不思議な出来事だった
それから俺は、クラスメートや同級生、先輩に致までが俺を怖がるような視線で見るようになった
俺の高校生ライフを返せ!
胸をときめかせ、楽しみにしていた高校生ライフは、物の見事に砕け散った
「嫌な事思い出した」
俺がムスッとすると
「でもさ、零は良い事したんだよ、あのままだったら吉原さんは大変な事になっていたんだし」
香奈恵が言うが、慰めにはなっていない
確かに、人助けだった…あの時、考えるより先に体が動いた
「だよ、先生だって生徒指導のヤッチンだって言ってたじゃん、零が気付かなかったら、大変な問題以上になってたって」
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