報い

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報い

ーーーーーーーーーー 「そうだ、俺は身代金の隠し場所に向かっていたんだった」  なぜ意識が朦朧とし、なぜこんなにも耳鳴りがするのかを思い出せないまま、男はふらふらと一歩を踏み出した。  ーバンシニアタイスルー  それは突然男の頭に浮かんだ言葉。  昔聴いた音楽の1フレーズを急に口ずさむ時のそれと似た、それともデジャヴと言った方が近いのか、そんな感覚。  (なんなんだ?縁起でもない)  頭を振って交差点の斜め向かい、大きな公園のある方に目をやる。  そこのとある場所に身代金を隠してあるからだ。  スクランブル交差点ではないそこを、男は斜めに渡ろうとした。  まだ意識がはっきりしていないのか、男は車道に出たところで、足を絡ませて転倒した。  耳鳴り、頭痛、そして明るすぎる街灯、それらの要素が右から来る鉄の塊に気付けなかった要因だろうか。  しかし、転倒した瞬間、男は「オモイダシタ」。  (やばい!これは。。。)  左折してきた大型ダンプの後輪がゆっくりと男の背中へと近づき、やがてその後輪は男の真上にのしかかる。  異常に気付いた運転手は、男の背中に後輪が乗ったままの状態で車を止め、車から降りた。  (痛い!痛い!痛い!)  皮肉なことにその痛みで意識だけははっきりしてきた。  いっそのこと息の根を止めてくれと言いたくなるほどの激痛を、まるで永遠かの様に感じながら、やがて男は動かなくなった。  ビルの上、人型のようではあるが、肩には大きな鎌を抱えた「モノ」が、その現場を見ながらこうつぶやく。 「本来ならこのまま冥府へと連れていくべきところだが、貴様の罪は万死に値する。このまま永遠に、何度でもその痛みを味わうがいい」 男の19の春は永遠に終わらない。何度でも、何度でも、繰り返される… ーーーーーーーーーーーー 「ココハ、、、ドコダ?」 赤茶、こげ茶、薄茶色の煉瓦で。。。。。
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