25人が本棚に入れています
本棚に追加
頭だけを必死に守りながら地面に体を打ち付け、手足があらぬ方向へと曲がり、男の体は岩山の隙間へと転がって行った。
どす黒い血が岩場に染み渡り、それでも生きている。
そして、男は絶望した。
神経が切れ、指すら動かせない。激痛が体中を走り続ける。
死を選ぼうにも、動かす事の出来ない不滅の肉体が死を阻んだ。肉体は不滅だが、病気や怪我もするし、治療を受けずに治る事も無い。
誰にも発見されないであろう場所で、男は悲痛の叫びを上げ続けた。
最初のコメントを投稿しよう!