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『続編希望!』
『揚げた後はどうするの?』
『食べ物は粗末にするなよーwww』
「ん……。それもそうか」
コメント欄を見て、立ち上がる。
先ほどのハムスターの死骸は後に自分のブログに載せるため取っておいた。
ブログに載せるための写真を撮ってから動画撮影の準備に取り掛かる和孝。
口笛を吹きながら、生配信の準備を着々と進める。
今度の動画のタイトルは、《美味しくいただきました》。
動画内で自分のチャームポイントであるパンダのお面を被ってから、パソコン画面の前に座る和孝。
備え付けのカメラのスイッチを入れると、ちゃんと撮影出来ているかの最終確認を行う。
そして動画配信が始まる。
「はいどうもー!!皆さん笹クマですよー!元気してますかぁ?」
配信が始まってすぐ、視聴者の数を示すカウンターがどんどん上がっていく。
それに合わせてコメント欄に続々と書き込まれていった。
『待ってましたー!!』
『笹クマキターwww』
『元気してますよぉwww』
「はい、今日はね。皆さんのご期待通りに、このこんがり揚がったハムスターちゃんを美味しくいただきたいと思いまぁす!!」
上がってゆく視聴者数。
止まらないコメント欄。
その光景に恍惚とする和孝。
彼をここまで歪ませる原因は何なのか。
昔、父に虐待されていたせいか。
それとも、厳しすぎた母のせいか。
もしくは生まれ持ったものなのか。
それはおそらく誰にも分からないし、彼にも分からないだろう。
だが、和孝はそれで良かった。
今が楽しければ、それで全て良かったのだ。
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