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夏休み初日の昼前。
昼食をどうするかの偵察に、ちょっと店を覗こうと向かうと
聞き慣れた声が聞こえてきた。
「そういや、今年のお祭り。日辻さんも当番だったよな」
少し高めの陽気なこの声の主は、常連さんの一人、村上さんのもの。
「そうなんですよ。
でもね、まだ何を担当するかは決まってないんですけどね」
相変わらず、地元っ子のような顔をする母に、
「だったら出店担当は、外れたほうがいいよ。アレ、結構、面倒だから」
高森さんの、ちょっとうんざりした声が続く。
「そうか。去年は、雅ちゃんも当番だったっけ。
もしかして、出店当番だったとか?」
うん……。
頷いた高森さんの声は、明らかにトーンを沈めた。
そして、その会話を耳にのっそりと踵を返し、
俺は、台所に向かいながらポツンと胸の内で呟く。
お祭りか……。
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