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それから二分も経たずに戻ってきた少年は白い布に包まれた何かを持っていた。いや、『何か』というのはおかしい。先程『生首』だと言っていたではないか。
「これだ」
少年が布を剥ぎ取ると確かにそこには女の生首のミイラがあった。ただ一つだけ普通と違うのは、額に鬼の角があることだった。
「驚いたか?」
「え、ええ。あの、あなたの名前は?」
「まず自分から名乗るのが礼儀だろう?」
変に勿体つける少年に私は吹き出しそうになるのを堪える。
「桜田八重子と申します」
「ああ思い出した。劉禅兄様に嫁いだ女というのはお前だな」
「はい」
「俺は狩影。狩影様と呼べ」
「シュエイ、様? あの、失礼ですが、お幾つですか?」
「十三だ。そんなこと訊いてどうする」
「いえ、しっかりしていらっしゃるのですね」
「当然だろう。お前こそ二つしか歳が違わないとはいえ、もう少ししっかりしたらどうだ。鉈持ったまま阿呆みたいな面で硬直しやがって、笑わせてくれるな」
「す、すみません」
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