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美代が劉禅を呼びに部屋を出て行ってから十分、いや二十分は経っただろうか。私はどうしても閉ざされた襖の外に人の気配があるような気がしてなからなかった。確かめるのも怖いが確かめないのも怖い。ひょっとしたら気のせいかもしれない。せめて襖ではなく障子だったなら開けずとも影で判断し、そっぽを向いて何も見ないふりが出来たのに。
だがそこまではまだ良かった。そのうちにがりがりという音まで聞こえてきた。それはあの男が襖を引っ掻く音に酷く似ているものだった。
思わずそちらに視線を送った時に襖が僅かに開いていることに気づく。先程までかたくとざられていたはずなのに。そう思ったらじっとしていられなくなり、弾かれるように立ち上がると部屋の隅にある箪笥の側へ駆け寄って上から順に開けては閉めるということを繰り返した。せめて何か身を守る物がないものか。
祈るような気持ちで一番下の一回り大きい引き出しを開けるとそこには鉈が入っていた。
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