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「なんじゃ、ウリエル!」
「ホント、そういうの困りますから。この光の粒が、こうなってしまったのも運命であり、光自身が母親を選ぶのです。
神が選んではなりません。そういう事も、人間の学びなのですから」
神様はウリエルから杖をひったくりました。
「お前は真面目すぎ!いいじゃん、いいじゃん!」
「何をおっしゃってるんですか!?神がそんな事をなさってはなりません!杖を下ろして下さい!」
神様とウリエルは杖を取り合い、その様子を妖精が不安そうに見ています。
「いいじゃないか!ワシは神じゃぞ!」
「いい加減になさい!神のクセに何をするんですか!」
「お、おやめ下さい~~、お2人ともぉ~。
神様~、ウリエル様~。そんなに杖を振り回すと危ないですぅ」
「「「……っあ!!」」」
なんと。
2人が激しく揉み合っているうちに、杖が再び光の粒に当たってしまいました。
光は弱々しく、雲の下へ落ちて行き見えなくなってしまいました。
「……お前のせいじゃ、ウリエルめ」
「神よ、あなたは自分のなさった事がよく分かっておられないようですね」
「なんじゃと!?生意気な!クソ天使!」
「…っこんの!ジジイ!いい加減にしろ!」
2人が再びもみ合いになり、他の天使たちが止めに入ってきました。
「どうしたんだ、ウリエル!神様、おやめ下さい!」
「あぁ、光たちがこんなにさまよっているじゃありませんか!神様、早く人間界に導いてあげてください!ミカエル!ウリエルを抑えて!」
神様はウリエルから杖を力いっぱい引ったくりました。
しかし、その反動で神様はよろけ、杖がお花畑に放り込まれ、その時、別の光の粒がその杖に当たってしまい、勢いよくどこかへ飛ばされてしまいました。
そこにいた全員が光の粒が飛んでいってしまった方を呆然と眺めます。
「……あっちは地獄に繋がってたよね…」
「やばいね。」
「あー…でも拾いに行かないと」
「悪魔たちが見つける前に取りに行くんだ」
「ウリエル、お前が行け」
「……くっそ」
こうして、ウリエルは光の粒を探しに地獄まで降りて行くことになりました。
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