神様の言うとおり

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「えっと、ストラス、どう言うことです、か…」 「亜湖さんに大切なお話があります」 顔を伏せたままのストラスが私の言葉に被る勢いでそう言った。 私は思わず黙り込む。 「大切なお話、いえ、大切どころか、もっと重要なお話と言っても過言ではありません。わたくしは霊石や薬草学に通じ、自他共に認める博学、悪魔の専門書と地獄で謳われたほど。 召喚されれば、人間には忠実に、正確に、むしろ真面目にその知識をお教えするインテリ悪魔。しかし、その実態は地獄の26の軍団を指揮する悪魔君主…それなのに…」 ベラベラと話しまくるストラスの肩に手を置き、私は小さく呟いてみる。 「な、何があったんですか?」 私の言葉を聞いて、ストラスはガバリと顔を上げた。 昨夜見た、怖く感じた真っ赤な瞳が涙で潤んでいる。 「聞いて下さい、亜湖さん。いえ、亜湖さま!」 「ひぇっ!」 逆に肩を勢いよく捕まれ、変な声を上げてしまう。 「……大変失礼しました。レディーに乱暴に扱うなんて紳士がしてはならない事ですね。 ですが、そうなってしまうほどの事件があったのです」
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