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「もうちょい待って。すぐ沸くから。あ、家から色々持って来てくれたんだ。ここで用意してもいいのに」
部屋に戻ってきた宙良は、私が机に並べたカップを覗く。
「これ、以前でもよく使ってたカップだね。
あ、こっちは、俺が使わせて貰ってたやつだ。
なんか、そんな昔じゃないのに懐かしい!」
嬉しそうに " ストラス " だった時に使っていたカップを手にとって宙良は笑っていた。
私もそれを見てなんだか嬉しくなる。
「うん、お茶はね、ベリーとローズヒップのフレーバーティーと、あとミントティー、それから、カモミールティーがあるよ。蜂蜜も持ってきたんだ。」
「亜湖のおすすめは?」
「おすすめ?そうだね、ミントとカモミールは、いっぱい作って貰った事があるから、フレーバーティーはどうかな?」
「いいね。亜湖が取ってきてくれたレモンを浮かべる?冷蔵庫に入れてあるよ。スライスして持ってくる?」
地獄のレモン。
普通に冷蔵庫に入れて宙良のご両親…特にお母さんはレモンを使ったりしないんだろうか?
普通のレモンとは言え、手足がついていたから変なくぼみがあるハズだし。
「冷蔵庫に入れて置いて、地獄のレモンをお母さん達が見たりしないの?」
「大丈夫だよ。俺が使うから触るなって言ってあるし、レモンを1つずつキッチンペーパーに包んでラップしていれてあるから、気がつかないし」
「……そうなんだ。じゃあ、少しレモンを頂こうかな」
「うん、じゃあ、スライスして持ってくる。お湯も沸くだろうし、ちょっと待ってて」
再び宙良は部屋を出て行き、数分すると、トレーに電気ケトルとスライスレモンを乗せて部屋に戻ってきた。
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