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「……うっぷ。暑いし、湿度が高ぇ…」
ウリエルは地獄に着くと、汗を拭きながらコッソリと光の粒を探しました。
しかし、なかなか見つかりません。
「……っとに。何処なんだ、全く。
あんまり遠くには落ちてはないと思うんだけどな………ん?」
ウリエルはブツブツ文句を言いながら探していると、小さく呟くような声が聞こえました。
ウリエルは、その声の方に進んでみると、岩陰から聞こえます。
「何故、天国から人間界に行くはずの光がここにいる?…可哀想に、光が弱くなっているではないか」
ウリエルが岩陰をコッソリと覗くと、悪魔ルシファーが、光の粒を手に乗せて座っていました。
それを見たウリエルは指先を自分の額に置き、小さく溜息をもらします。
『1番やっかいな悪魔に見つかったもんだ』
心の中でそう思い、仕方なくルシファーの前に出て行きました。
「ルシファー、その光の粒は手違いで地獄に来たのだ。返して貰おうか」
ルシファーはウリエルの声にゆっくりと振り向きましたが、すぐにまた手のひらの光の粒に視線を戻しました。
「……可哀想に。どうしてこの様な場所までやって来たのか」
「……ルシファー、お前には関係のない事だ。
それをこっちへ渡して、忘れてくれ」
ウリエルは手を差し出しましたが、ルシファーは
まだ手のひらに乗せたままです。
「もしかして、また神の気まぐれで何かあったのでは?」
ウリエルはギクリとしました。
「……違うとは言えないが、私のミスだ。早く渡せ。今日送り出す光の粒だ」
「……地獄の気に当たったせいで、この光の粒は産まれても早く死んでしまうかも知れない。」
ウリエルが目を見開きました。
「まぁ、それも運命と言えば運命だが、神やその使いの間違いで地獄に来て、私が見つけたのもまた運命。
こいつには3つの贈り物をしよう」
「よせ。悪魔の贈り物などいらん」
ウリエルはルシファーから光の粒を取り返そうと手を伸ばしましたが、ルシファーは手を軽く握り、それを阻止します。
「神と天使の間違いがなければ、この光は普通の生活を送っていたのだ。それをお前達が台無しにした。悪いとは思わないのか。」
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