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「アダムとイヴに仕えるのを嫌がり、反乱を起こしたお前が、人間を可哀想だとは意味が分からん。
とにかくその光の粒を返せ」
「それとこれとは話が違う。
お前も知っているであろう。神に1番愛された天使は私だった。
私は元々慈愛に満ちているのだ」
「は…笑わせるな。とにかく早くしろ。地獄の気に当たりすぎると弱るのだろう?早急に天へ持ち帰る。」
ルシファーはニヤリと口の端を上げました。
「だから、私から贈り物をすると言っておるのだ。」
ルシファーは軽く握られた手を広げると、光にフゥッと吐息をかけました。
「…っ!おい!何をする」
「まず1つ目の贈物。地獄の気によって死ぬ事は無くした。体は弱いかも知れんがな。」
「……。」
ルシファーはウリエルの前に光の粒が乗った手を差し出しました。
「2つ目と3つ目は、1つ目のおまけみたいな物だが…
私の吐息の魔力で霊能力がついた。これが2つ目。」
ウリエルはルシファーから光の粒をそっと受け取り、そして尋ねます。
「…3つ目は?」
「誰もが羨むような美しい娘になるだろう」
ルシファーは立ち上がり、大きな翼を一度だけ羽ばたかせました。
ウリエルはそのせいで舞い上がった砂埃を片手でパタパタと払うと一歩後ろに下がり一言だけ言いました。
「………とりあえず、礼を言う。」
その言葉にルシファーは何も答える事なく、地獄の池の方に歩いて行きました。
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-天国-
「おぉ、ウリエル。光の粒はあったかの?」
ウリエルは神様に頷くと、手のひらの光の粒を見せました。
それをご覧になった神様は満足そうに頷き、その光を杖で人間界に下ろしてから、呟きます。
「心配じゃのぉ…」
「大丈夫です。ルシファーが地獄の気を払ってくれました」
「ルシファーが?そうか。ホッホッ…」
神様とウリエルは天から人間界をしばらく眺めていました。
傷ついた2つの光の粒を含む光たちみんなが幸せになるように祈りながら。
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