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頬を膨らませていた絢香の顔がほころぶ。
私は絢香のこの笑顔が好き。
「亜湖はー、ほんといいヤツなんだからー!」
そう言って抱きついてくる絢香を私はギュッと抱きしめた。
「ねね、絢香。ちょっとトイレ行ってくる。」
「あ、私も行く。」
2人で教室を出てトイレに向かう。
すれ違う友達に挨拶しながら廊下の端まで行くと。
白い服を着た女性がトイレの前に立っていた。
私は足を止める。
「亜湖、どうしたの?」
白い服の女性の、体の真ん中に絢香が立って…
私を振り返る。
女性は半透明になってフワリと揺れた。
「ううん、何でもない!」
私も絢香に続き、女性を突き抜け、トイレに入った。
そう。
私は霊が視える。
霊が以外にも、何だか色々見えなくて良いような物が視えるのだ。
だけど、それはみんなには隠している。
私が、自分の目が嫌いな理由は、つり目以外にもこう言う理由があった。
もう、慣れたと言えば慣れたんだけど…
見たくない物は見たくない。
この目がイヤだ
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