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神様の言うとおり
朝、目が覚めて。
目を開けると、クータンが、ただのぬいぐるみのようにポテンと枕元に転がっていた。
いつもなら寝息を立てて、お腹が呼吸に合わせて上下しているのに、それがない。
「クータン?」
"……"
私は心配してクータンを揺する。
「クータンッ!?」
クータンはそれでも動かない。
とりあえずベッドから降りようと、布団から足を出したところで、私は悲鳴と共に飛び上がった。
「きゃああぁっ!!」
そこにはストラスがベッドの側で小さく膝を抱えて座っていた。
「ス、ストラス?」
ストラスは上目遣いで私をチラリと見たけれど…
すぐに下を向いて、更に小さくなってしまった。
クータンが動かない原因はこれか。
にしても、何でストラスが…
「昨日、もう会うことはないと思うって言ってませんでしたっけ?」
「そのとおりです。……しかし」
その時、お母さんが私の部屋を大きくノックして、部屋の扉を開けた。
「どうしたの?亜湖。朝から大声だして」
お母さんは部屋を見渡しながら、少し怒った口調で私に話しかけた。
ベッドの側の黒い塊。ストラスはお母さんには見えていないようだ。
「あぁ、ごめんね。虫がいるかと思ったけど、ホコリだった」
「もう!早く用意しなさいよ、朝ごはん出来てるし」
お母さんはドアを閉め、パタパタとリビングに戻って行った。
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