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そして、説得の甲斐あって夏紀はあたしたちを迎えた。
夏紀の母「夏紀、正月の挨拶もなしに何をしていたの?まさか、律夫さんからヒドイ目に遭わされてない?」
夏紀「主人は、そのような人ではありません。」
倉敷「その割には変だぜ、高瀬。見ろ。」
と、倉敷君が写真立てを見せた。
夏紀と夫の律夫と思われる男が並んで写ってるけど、夏紀はニコリともしていない。
倉敷「ぜってー奴からヒドイ目に遭わされてないワケがないよーにしか見えねーよ。」
あたし「てことは夏紀、あんた結婚させられたってこと?」
相澤「高瀬さん、話はご実家で詳しく聞かせてくれないか?いつ旦那さんが帰ってくるかわからないし、もしかしたら三富君と小長井君を殺害した犯人の可能性が」
夏紀「違う、2人を殺したのは私よ。」
みんなは仰天した。
夏紀の母「夏紀、あんた…?」
あたし「違うよ、殺したのはあいつだよね!警察にあいつが殺したことを喋ったら自分が不利になることでもあるからだよね!あいつを庇ったって、何の得もないのよ!」
あたしは夏紀の言葉を否定した。
いや、したかった。
夏紀のような真面目な人が犯罪なんてありえない。
しばらくして、夏紀は重い口を開いた。
夏紀「あの日、三富君と小長井君がやってきたの。そして、何故同窓会の返事を寄越さなかったか問い詰めたの。そしたら、主人が予定より早く帰ってきて、私に問い詰めたの。何故こんな所に男をって。三富君と小長井君は主人に矛先を変えたわ。私を実家に行くことすら許さないほど束縛してるのかって。主人は私に殺せと命令した。私はそれに従った。2人は最期まで、私が主人の殺せに従わないと信じていたみたいで、私が殺すとは思わなかったみたいだった。」
あたし「何で従ったの?」
夏紀「それが私の立場だから。従わなければいけない立場だから。」
相澤「じゃあさ、何故あの男と結婚したんだ?」
夏紀「契約だから。それだけ。」
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