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娘の真理亜が生まれて数ヶ月。
俺が仕事から帰ってくると、家中にクラシックが響いていた。
俺「あれ?何でクラシックなんかかけてんだ?来客か?」
茉莉花「違うわよ。真理亜のためよ。」
俺「どーゆーこと?」
茉莉花「真理亜を立派な大人にするには、幼い内から育て方を確立しないといけないのよ。アニメソングなんかに頼っていたら、それに依存してまともになれないわ。」
俺「へ?」
何を言ってるのかわからなかった。
もしかしたら、という懸念が一点あった。
まさか、茉莉花は真理亜を自分に恥じない2世にするんじゃなかろうかと。
思えば聞いたことがあった。
茉莉花は確か、父親がオリンピック選手の夢を叶えられなかったとかで、母親は茉莉花が卒業した大学に入れなかったとかで、おまけに姉はアイドルになれなかったとかの、いわゆる夢が叶えられなかった的なコンプレックスの持ち主一家に生まれたらしいのだ。
茉莉花は、そんな3人分の夢の残骸を背負って生きてきたらしいのだが、何故か真理亜に何かを押し付けようとしてるような、そんな気がする。
俺「なぁ、茉莉花。真理亜をどんな娘にする気なんだ?」
茉莉花「あら、わからないの?真理亜は私の娘だからこそ、私の全てを受け継ぎ、私に出来なかったことをさせてもらうのよ。」
俺「出来なかったこと?」
茉莉花「そうよ。そのためなら、何の努力も惜しまないわ。」
そして、俺は後悔することになった。
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