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数年後、茉莉花はおかしくなっていた。
真理亜に英才教育を強いたのだ。
それも、勉強やスポーツに音楽ばかりか、演劇教室にも通わせていて、真理亜には休日がなかった。
真理亜ばかりか俺にも負担がかかった。
英才教育をする上でめっちゃ出費がかさみ、俺は生活費を稼ごうと残業までして働く覚悟を決めたが、会社が残業禁止にしたためにそれが叶わず、俺は茉莉花の夫という肩書きと大学時代演劇研究会をしていた経験を利用して俳優を副業にした。
だから俺にも休日がない。
おまけに周囲の人間は、茉莉花と結婚した俺に期待を寄せていたために、下手な弱音を吐くことが出来なかった。
相談できる唯一の相手は、マネージャーだった。
マネージャーは、父親が東大に入れなかったコンプレックスが原因で無理矢理東大に入らされ、卒業後は燃え尽き症候群ついでにうつ病になったためか、父親から失敗作だと打ち捨てられた経験があるのだ。
だから、マネージャーと一緒に暇と金さえあれば、茉莉花に理由をつけて飲みに行った。
が。
そのまた数年後、事態は急変することになった。
いきなり俺は、ドラマの撮影の休憩中にて、いきなりマネージャーから呼び出された。
俺「どーしたんすか?」
マネージャー「実は、茉莉花さんがかつて勤めていた事務所から、新しいマネージャーが来ることになったんです。」
俺「どーゆーことっすか?俺の所属と妻の元所属先って違うのはわかってる前提みたいっすけど。」
マネージャー「実は、早い話が茉莉花さんからの監視役らしいんです。最近あなたが私と飲んでること、勘繰られてしまったようで。」
俺「何だよ、俺が真理亜の教育費のために死ぬほど働いて、休ませる気ゼロかよ。」
マネージャー「どうもそうらしいんです。」
俺「茉莉花も茉莉花で、いい加減俺の気持ちもわかって欲しいんだけど。」
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