0人が本棚に入れています
本棚に追加
やがて、真理亜は文武両道アイドル2世になった。
アイドルデビューしたことで、俺はようやく落ち着いたと確信しようとした。
が。
茉莉花「あなた、何休んでるのよ?」
俺「は?」
茉莉花「あなたにはまだまだ仕事があるわよ?」
俺「どういうつもりだ?」
俺は力なく身構えた。
茉莉花「あなたはこれから、私と真理亜との幸せな家庭を持つ大黒柱を演じてもらうんだから!」
俺には理解出来なかった。
あんだけ散々働かせて、更に働かせるつもりだよ!
俺「幸せな大黒柱を演じるだと?」
茉莉花「そ。四の五の言ったら、あんたがこっそり前のマネージャーと飲んでることを、不倫に変えてやるわよ。そうしたらあんたはおしまいで、私はあんたから多額の慰謝料を手に入れることになるけどね。」
俺「どこまでも俺を利用して…!」
茉莉花「世間から叩かれたくなかったら、黙って私の言うことを聞きなさい。」
俺「お前、子供の頃何か叶わなかった夢でもあるのか?」
茉莉花「あら、何の話?」
俺「俺は大学の頃、心理学をかじってたんだよ。その中に、自分の叶えられなかった夢をコンプレックスにしている人は、子供にそれを押し付けることがあるらしい。これはスポーツや学歴や芸能でよくある話らしいんだ。だけどあんたにはそれっぽいコンプレックスが見つからない。何があんたをそうさせた?」
もう、喋るだけでも体力を使い果たしそうな勢いだ。
すると、茉莉花がしれっとした態度で答えた。
茉莉花「幸せな家庭が欲しかった。お父さんもお母さんもお姉さんも、私にああなれこうなれと押し付けるばかりで、家族らしいことを何一つしなかった。だから、その幸せな家庭を今こそ作ると思ったまでよ。」
俺「腑抜けてるな、茉莉花。そういう歪んだ子育ては末代まで続くんだぜ。子供の頃、歪んだ育て方を受けて育ってしまえば、そういう育て方しか覚えない故に歪んでしまう。そうなる前に、どこかで断ち切らないといけないんだ!」
茉莉花「それさ、真理亜に言いなさいよ。」
その時、茉莉花が指を鳴らした。
どこからか、妙な男が数人現れた。
最初のコメントを投稿しよう!