それでもキミが

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「なんでー?俺の顔に惚れたのに?」 「顔なら一緒だろ。うざい」 真斗さんの頭をマサが叩く。 「顔が好きなわけじゃないんで。あたしはマサの顔から入ったけど、話しているうちに内面も全部好きになってたんです。だから、真斗さんじゃダメです」 あたしが好きなのはこの目の前にいるマサ。 同じ顔だけど、真斗さんのことは全然好きじゃない。 たしかにかっこいいとは思うけど。 「ほら、わかったろ?帰れよ」 「面白くねー!はやく壊してやりてぇのに」 「お前の陰謀になんか乗るかよ。ばーか」 真斗さんのことを椅子から立たさて〝帰った、帰った!〟と追い払う。 「里利子、俺のほうがよくなったらすぐに来ていいからね」 ヒラヒラと手を振って去っていく真斗さんにマサがでかいため息をつく。 「ため息でっか」 「もっとでかいのしたいぐらいだよ」 あんな嵐のような双子の兄に振り回されるマサが気の毒に思えてくる。
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