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暑気払いから数日経った金曜日。
ランチを終えて席に戻った私は、デスクのパソコンのメールフォルダを開いた途端、呼吸さえままならなくなった。
【話がある。15時、小会議室に来て欲しい】
社内メールの送り主は宮田だった。
いやいや。
何で?どうして?何を話すの?
いくつもの疑問文が浮かんだけど、ソッコーでカチャカチャとキーを打つ。
【仕事のことですか?】
【いや。違うけど。】
【だったら話すことはないかと思います。】
【あ、仕事のことだったわ。】
【どっちですか。】
【来るの?来ないの?】
【仕事のことならこのメールで済ますか、お時間あるなら直接コチラに来られてはどうでしょうか。】
【わかった。覚えてろよ。後悔しても知らねーからな。】
「はぁー?」
思わず出た声に、周りがビクンと肩を揺らした。
「どした?」
目の前のデスクの千葉さんが首だけを伸ばして私を心配そうに見てくる。左の席の高橋くんも、真後ろの斎藤さんも「大丈夫ですか」と声をかけてくれた。
「何でもないです。申し訳ありません」
身に覚え無い罪で恨まれている気分だ。
姿勢を正してからコホンと無理矢理咳き込んで、片付けなきゃいけないファイルを手に取ると、片付けなくてはいけなかった案件の処理に集中した。片付けなきゃいけないことがいっぱいあって有り難い、と思いながら。
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