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デスクが黄色い付箋で埋め尽くされていく。
『嫁さんになってよ』
……えっ?
『一緒に出社して“あらイヤだわー。あの二人、肌がツヤツヤだわー”とか冷やかされようぜ』
パッと顔を上げて見た宮田は、ポケットに手を突っ込み耳を染めながら私を見下ろしていた。
どんな口説き文句なのよ、バカ。
というか、友働き確定なの?
まぁ、良いけども!
椅子に腰かけた私を見下ろし、「子供出来たらオレも育休取るし」とごく普通の会話のように言う。
「出来る前提で話さないでよ。私もうそんなに若くないし。人によっては…」
「大丈夫じゃない?オレの濃いから」
「バカ!何言って……」
「濃いーよ。だって10年だよ?そりゃ濃いに決まってんじゃん」
「…………」
「出来なきゃ出来ないで、二人っきりの時間を楽しめばいいし」
「………まぁ、そうかもしれないけど」
ごく普通なことをサラッと口にする男が誰よりもカッコイイと思ってしまう私は、まだまだ宮田に惚れてるみたいだ。
「オレと付き合う、んで、嫁さんになる、で異論は無いね?」
あ…………。
【わかった。覚えてろよ。後悔しても知らねーからな。】
社内メールの最後の文面がふと過ぎった。
「………うぅ」
「何、急に照れてんの」
今の会話をここにいる人たちに聞かれてた?そう気づいてカァーっと顔が熱くなる。
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