プロローグ

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 新学期にうちのクラスに転校してきた咲夜は、女子でありながら男子顔負けの高身長で、整った顔、涼しげな目元に長い脚、一目見ただけで「絵本に出てくる白馬の王子」を想像してしまえるような麗しい少女だった。「かっこいい女の子」「女子だけどイケメン」「男装がめちゃくちゃ似合いそう」とかいう理由で咲夜は転校早々クラスの女子たちから大人気、周囲には彼女の言動一つできゃーきゃー言うメンツが絶えない。  そのうえこんな美少年……じゃねーや、美少女が、実は恋愛小説まで書いているとわかってからは、クラス中の女子は『every』にアカウント登録をして『恋の雫』をこぞって読んでいる。普段は小説なんか読まないような子たちまで、今や誰もが「うちのクラスの王子様」の紡ぐラブストーリーに夢中なのだ。  ……じゃあ俺の書いてる小説はどうなのかって? まあそう焦んなって、今から話すのはそのことだ。  これは、氷河政俊と咲夜日織という二人の高校生、かつ二人の小説家の話。  そして、俺とあいつだけの、絶対に言えない秘密のお話。
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